5、悪魔トップ・ゴース
ビルの屋上で、男は静かに待っていた。男の周りでは、地面がくろいスライムのようなもので埋め尽くされている。そこから先ほど悠が倒した犬が次々と生み出されていた。
「もう少しだな。」
悪魔、トップ・ゴースは呟いた。すでに黒い犬は300ほど生み出されている。
悪魔は遥か昔から、空界人と争っていた。悪魔からすれば空界の人々は敵だ。悪魔はこの世にある魂を食べ、強くなりそして色んな災害を起こし、文明を滅ぼしてきた。なぜそんな事をするのか、答えは簡単だ。楽しいからだ。
破壊は限りなく楽しい。中にはくだらないと言いながら、人々に紛れ込み生活している悪魔もいる。しかし、そんなものは関係ない。
魂を食べられた人は次の世に転生できなくなる。簡単にいえば生まれ変われなくなるのだ。空界人はそれを止めようとする。自分達が天国や地獄に送る魂が、無くなるからではない。
空界人は人は生まれ変われなければいけないから。という理由もあるが、天国や地獄に送るときにエネルギーをもらえるからだ。生きるため空界人には必要なもの。
最初は圧倒的な力をもつ悪魔に空界人は押されていた。しかし空界人は思いつく。人を助けるために肉体が死んだ魂と契約し他の人より遥かに強い魂をパートナーとし、悪魔と戦うために。そのため悪魔が契約者を狙うのは必然だ。
トップ・ゴースがここに来たのは、強い魂の波動を感じたのだ。強い魂なら食べれば自分の力が強くなる。そう思い来たのだが、すでに契約していた。
「関係ないな。魂を奪うため、契約者ごと殺せばよいのだ。」トップ・ゴースは立ち上がった。すでに黒い犬は500ほどになっている。
「どんなに魂が強かろうがこれだけの人形があれば、並みの契約者ならすぐ殺せる。」
トップ・ゴースは契約者の気配が反応している場所に向かった。500もの僕をつれて。