俺は、野宮 晴貴。

宮野に拓人はいないって教えた男。


本当は・・・すんげえ嘘ついてんだ・・・俺。


こうしなきゃいけないのも、ちゃんとした理由があった。


俺と拓人は従兄弟でもあり、幼馴染だった。
はっきり言っちゃえば、真逆のような俺達。

拓人は誰にでも優しくて、それを表に現す器用な奴。
俺は・・・不器用で素直になれない。

だから人がよってこない。
少し仲良くしてくれた奴も、今となりゃ知らんぷり。


でも拓人は俺に優しくしてくれた。


憧れた。


だから・・・宮野にこう言わなきゃいけなかったんだ。



「5日前くらいかな・・・」

俺は一人で呟き、5日前を思い出した。