しかし、こういう時に限って家のチャイムを鳴らす奴がいる。

「・・・誰だ??」

俺は涙をぬぐって、立ち上がりドアへと向かった。


ドアを開けると、そこには見慣れた姿。

「晴貴??」

俺のいとこで幼馴染の・・・野宮晴貴だった。



「よお、話あんだけどいいかな??」

晴貴は俺の返事を聞く前に、堂々と家へ上がってくる。
そして靴を脱いで俺より前を歩き、俺の部屋に入った。

なんて奴だ・・・
小さい頃から全く変わってない晴貴。


しかし、今日の晴貴はあからさまに雰囲気が違っていた。
これはきっと、ずっと一緒にいるから分かること。


「あ、ジュース持ってこようか!?」

俺が晴貴に聞くと、いらん というような顔をされて・・・いきなり話し出した。



「お前、宮野の幸せ望んでるんだよな??」

来るとは思わなかった質問に、少し唖然としたが俺は答える。

「あぁ・・・春姫ちゃんの幸せを心から望んでる」

この言葉に嘘はない。
本当のことを晴貴に答えた。