今日も綺麗に桜が舞っていた。


俺・・・神谷拓人と春姫ちゃんが出会ったのはこの時期。

俺が春姫ちゃんに告白したのもこの時期。

春姫ちゃんが産まれたのもこの時期。


春には幸せな思い出がたくさんある。



でも・・・今年の春は、辛い思い出になってしまった。



こうすることしか出来なかった。
俺には春姫ちゃんを幸せに出来ない・・・

俺よりも、春姫ちゃんを幸せに出来る人がたくさんいる。


だから・・・春姫ちゃんにとっての俺の存在を消すしかなかった。


こうすることで、春姫ちゃんは幸せになるんだ。



でも俺は・・・

「苦しいなぁ・・・」

自然と溢れだす涙と、心がズキズキする苦しみ。



駄目だ。
自分の幸せなんか考えちゃいけない。


俺は、まるで現実から目をそらすように首を横に振った。
何も・・・聞きたくない。