「……誰に誰に?」
「え…そ、それは…」
かああ、と赤くなっているだろう自分の顔を抑える。
奈美ちゃんは興味津々、という感じで私の方へと寄って来る。
「……教えられません!」
「えぇーっ!?何でよー!」
「だ、だって恥ずかしいし…」
「何よ何よー!私達の仲じゃないのっ」
「こんな時だけ何を言うか!」
みよん、と奈美ちゃんの頬っぺを横に伸ばす。
「っ…いひゃい…!」
「ぷ…あはは!変なカオ…!」
《キーンコーンカーンコーン》
「あ…もうっ……今度絶対教えてよね!絶対!」
ほんのり赤くなった頬っぺたを摩りながら、戦隊モノのテレビに出る悪役が去り際に吐き捨てる台詞の様なノリで叫ぶ奈美ちゃん。
…………面白いなぁ…。
私は、密かに想いを寄せている【あのヒト】を見た。
この想い、届くといいな……。