でもね

地味で、目立たなくて、この席を離れられないあたしには

“恋”なんて一生味わえない。



そうでしょう?



だからあたしは、悔しいけどこの席で、じっと大人しくしているしかなかった。



変らない、つまらない毎日を、今日もずっと過ごすしかなかった。


そんな、全てを諦めかけていた時だ。



あたしは偶然、君に出会った。


君は明るい性格で、クラスの中心にいるタイプだった。

だからそれまで、あたしはきちんと君を見たことがなかったの。


君はいつも、場所を転々としていて、眩しかったから……。


だけど

たまたま君の席とあたしの席が前後になって

たまたま君の授業中の姿を見ることができるようになって


そこで気付いた。



君が、いつも真剣に黒板を見つめていることに。