――最初、何が起こったのか分からなかった。
分かったのは次のこと。
鼻血ふく赤松さんの腹にクルキさんが蹴りを入れた。
「なっ!クルキさん!」
反射的に止めに入る。
見ればクルキさんは拳を握っており、右手には血がついていた。
殴った、んだ。
最初分からなかったことに気づく。でも、なぜ赤松さんをクルキさんが殴ったのかが分からず。
「彩芭大丈夫?痛かっただろう?」
「え……」
私の背中をさするクルキさん。
「まったくこれだからゴミは……、野蛮でしかない。俺の彩芭に触れるだけでも最悪なのに……ちっ」
舌打ちに鳥肌がたった。
恐る恐る相手の顔色を窺う。私が見れば笑顔になるクルキさんだけど。