(四)


「俺さ、前に人は別れるものだと言ったよね」


私のアパートの自室。

夕暮れ間近の部屋。電気つけようかつけまいか迷う時間帯に私は動けないでいた。


クルキさんだ。
クルキさんが膝上で横になっているので、私は動けない。


横になるクルキさんは先ほどまで猫のように気持ち良さげだったのに、いきなり深刻そうな顔をした。


「言いましたね」


記憶の類としてはまだ新しい。肯定すれば微かにクルキさんの目が揺らいだ。


「俺たちに別れってあるのかな」


「……。ないと信じたいですね」


「先は見えないからね、彩芭でも断定はできないか。――でも」


クルキさんが上半身をあげる。


抱きしめられた。