彼に呼ばれる名前が誇らしく、初めて自分に自信がついた。 だってあの栂さんからの告白。 誰に対しても愛情がわかない人が初めて見た。 「はい、クルキさん」 私という存在。 握られた手に手を重ねる。 言葉はいらなかった。 これが愛情の力。 額を合わせて、しばらくボーっとした。 温かい吐息。 温かい体温。 栂さん――クルキさんの人間らしさを物語るそれらは、ああ、確かに私の中に根付いた。