いまいち現実味がわかないのはきっと、栂さんが現実離れした容姿を持っているから。


ついで、このシチュエーション。


昼下がりの公園。
噴水前のベンチで告白をされる。


夢見なことだ。
私は寝ているのだろうかと思ってしまうのは致し方がない。


後は、実はドッキリだったという線だけど。


「藤堂さん――いや、彩芭。君は俺のことどう思っている?」


その質問の意味が前とは違うことも知っている。


人間として、ではなく。男として、だ。


赤らめた顔を背けそうになるも、金縛りにあったみたいに体が動かない。


「彩芭」


彩芭、彩芭、彩芭。その名前がここまで心地よく聞こえたことが今まであっただろうか。