「俺は誰にも愛情がわかない。たったある人を除いては」


「え……」


「ねえ、君の愛情は誰のもの?」


「誰のものでもありませんよ」


「それが俺には許せないのかもしれない」


噴水が噴き出す。


舞った綺麗な水に目が行きそうになるも、真剣な眼差しがそうさせてくれない。


「俺は君にしか愛情を注げない。なのに、君は辺り構わずその純粋な愛情をふりまいている。俺にはそれが我慢ならないんだ」


「それって」


分かった。
嫉妬だ。

栂さんのいらつきは嫉妬だと分かったけど、それはつまり。


「俺は君が好きなんだ」


心臓が慟哭した。

世紀まれに見る心拍。なのに頭は冷静。


栂さんが、私を?
と、処理はきちんと頭でなされている。