(三)
それから何回、栂さんと出会っただろうか。
栂さんは私と会う度に人間らしさを取り戻す発見をしているようで、楽しそうだった。
私とて楽しい。
栂さんが笑顔になるだけで――合コンの時に見た嘘の笑顔じゃない微笑みを見られただけで幸せだった。
この日は昼下がりの公園でデートだった。
途中、ベビーカーに乗った赤ちゃんが笑っていたので私は手を振った。ベビーカーを押すお母さんが会釈したので仕返したのだが――栂さんはそれから少し難しそうな顔をしている。
「どうかしましたか?」
気まずさに耐えきれなくなって、思わず聞いた。
ベンチに座り、噴水を見つめる栂さんを見る。