「ごめんね、変なことを聞いて」
「あ、いえ……そうですね。それでもやっぱり栂さんは人間だと思いますよ」
「人に愛情がわかないのに?」
「はい。“人間らしさ”は抜けていると思いますが、それも今だけだと思うんですよね。
だって栂さんは人間。人間なら必ず愛情を感じられる時が来ると思います」
「そう、か……。なら、愛情ってなんだろう」
「それは……」
迷うことはなかった。
失礼しますと手を伸ばす。伸ばした手は栂さんの頬に。
温もりを互いに共有した。
栂さんの驚く顔。
それに一言つけくわえる。
「これが愛情です。人に優しく接したい、そう思えるのが愛情ですよ」