「そう緊張しなくてもいいよ」
しかもか、気づかれてしまった。
マナー違反の私に笑うことなく、どこか困った表情をしている。
「俺は別に君をどうこうするつもりはないから。ただね、聞きたいんだ?」
「聞きたい?」
「そう。君、俺のことどう思っている?」
汗が流れるような感覚を味わう。
まさか、好きというのまで気づかれてしまった――
「俺さ、人間としておかしいでしょ。愛情を何かに対して持っていないのだから。その点についてどう思う?」
「へ……」
予想を裏切られ、腑抜け顔になってしまった。
急いで顔を普通に戻すも、まさかそんなことを聞かれるとは思ってなかったから返答につまる。