「いや……。」

「ねぇ、春くん。
行かないでよ。」

春くんはあたしの目を見た。

「春くんがいなきゃ寂しい。
やだよ。ココじゃダメ奈の?」

「瑠璃…俺は医者になりたい。
このあたりにも医学部は
あるけど、東京の医学部は
施設もいいし。とっても
俺のイメージ通りなんだ。

俺だって瑠璃や進也と
離れたくないさ。

でも、俺には俺の夢が
ある。いつまでも瑠璃や
進也のお兄ちゃん代わり
でいられないよ。」

真面目な顔の春くん。

「……違う。」

「え?」

「あたしは春くんのこと
お兄ちゃんだなんて
思ったことないもん。
ずっと小さい頃から
春くんが大好きなの…。」

春くんはなぜかあたしの
腕を引っ張った。気付くと
5センチ先には春くんの顔が
あった。

「瑠璃………。」

春くんはあたしにキスを
した。優しく長いキスを。