「春くん、入るよ?」

シーン………

返事がない。

「春くーん……」

あたしが春くんを呼び
ながら、部屋に入ると
春くんは寝てた。

「寝てんじゃん。」


あたしは春くんの
ベッドに座った。

「春くん、起きて。」

春くんの背中を揺する。

「んー。……!?瑠璃?」

「そんな薄着で寝たら
ダメだよ?」

「あ……うん。」

あたしは春くんの
目をじっと見た。

「春くん…本当に東京
行っちゃうの?」

「うん。」

春くんは目をそらした。

「決まっちゃう前に教えて
欲しかったなぁ…。」

「ごめんな。」

「何が?」

あたしはベッドのシーツを
力強く握った。グシャグシャ
のシーツはまるであたしの
心みたいだった。