気が付くと春休み。

今日は春くんの上京の日。

あの日からなにかが
変わる。そう思ってた。

けど、それは全くの錯覚。

いつもと変わらない日が
続いた。あたしの告白は
スルーされ、あのキスも
なかったことのように
春くんはあたしに接した。

進也はあたしが怒った
とは思ってなかった。

「え?怒ってたの?」

なんて言うんだもん。

でもきっと2人が何も
なかったようにするのは
私達の関係を崩したく
ないから。

そういう優しさなんだと
勝手に思い込んだ。

「瑠璃、春くんの見送り
行きましょ。」

「やだ。」

お母さんは困った顔をした。

「なんでよ?」

「だって……泣いちゃう。」