「あの…桜ちゃんなら…あたしと一緒の施設にいるけど…」


静かに、怯えるように祈沙が呟いた。


「……え…何だって…?祈沙ちゃん…それホント?…優衛…桜ちゃん…」


優衛は下唇を噛み締めていた。


「……葉山…桜は元気か?」


「え……うん…一応、元気…かな?」


「そうか…ならよかった…」


優衛は、優しく微笑んだ。

風に舞う桜が、そんな優衛を優しく包む。


――小さくなる背中が、弱々しく見えたのは…
俺だけなのだろうか…?