『――あの…』


あたしが声を掛けると、その人は、ゆっくりとあたしに視線を向けた。

…吸い込まれそう…


「……何」


ぶっきらぼうなその言葉に、少し面食らい、右足を一歩後ろへ引いた。

ダメだ。


『…あたしのこと…覚えてます?』


そうだよ。
絶対そうだ。

間違いない…

この人は、あの時の……


「……人違いじゃないんですか?」