「よかったぁ!」


本当に嬉しそうに喜ぶ彩芽を見て、優作は目を逸らす。












『ユウサク』








…なぜ、彩芽とかぶるんだ?





あの人に……。






「優作さんって…ここに住んでるんですか?」


彩芽は突然話し出すと同時に、優作は我にかえる。



「うん。まあ…」


「…そうなんですか。」


彩芽は悲しそうに優作を見つめる。



「なんで?」


「え?」


「なんでそんな事聞くんだ?」



優作の問いに彩芽は黙り込むと、静かに口を開いた。





「私、嫌なんです。一人って…。どこかに人を感じていないと淋しいから…」


彩芽は続ける。


「私、小さい時に怪我したって言いましたよね?」


「ああ。」


「そのとき…学校帰りから事故に合うまでの記憶がないんです。そこだけスッポリと。」


優作はその言葉に驚くと、確信したように彩芽の顔を見上げる。




「だからかな…何だかトラウマなんです。ごめんなさい。変なこと言っちゃって。」




「いや…。」




彩芽は空になった食器をキッチンに運ぶと、それを洗い出した。