「いえ、あの・・・その・・・ですから・・・グリーンさんって・・・」


 一生懸命逃げるための言葉を考えようとするが、出てこない。


 バカだから・・・。


「そうか!!ブルーも見るか・・・グリーンの遺影を・・・。そうだな、たとえ天が我らをはがしても、常にカミレンジャーは一つ!」


 何一人で盛り上がっているんだこの兄貴は・・・


 などと考えているうちにレッドに連れて行かれる青山。


 非力な青年に、毎日プロテイン飲んでますって腕がかなうわけもなく、青山はレッドの思うがままに連れて行かれていった。




「ここがグリーンが愛用していた部屋だ。」


 連れて行かれた部屋は和室。盆栽があって、掛け軸があって、コタツに座布団。そno
上にはみかんと、『週刊囲碁』なる雑誌まである。


「おもいっきり老人の部屋ですね。」


 素直に言ってみた。


「グリーンの趣味だ。」


 年寄りくさい趣味をお持ちの方で・・・


 という言葉は伏せといた。


「そして、あれがグリーンの遺影だ。今もこうして目を閉じると、グリーンがそこから出てきそうだ・・・。」


 勝手に涙を流すレッドを横目に、青山は彼が指差した写真に目を移す。そこに写っていたのは!


「緑川のおじいちゃん。」


 ・・・知り合いだった。


 享年103歳。


 葬式にも行った。


 近所でも有名な長寿おじいちゃんだった。


「知り合いか?」


「えぇ、うちらの周りでは有名でした・・・」


「そうか、ならば君はグリーンの生まれ変わりということになるな。」


 ナンデヤ?


「ブルーよ、今は亡きグリーンのためにも一緒にワイルダーからこの街を守ろうではないか!」


 熱意満々に両肩につかむレッドを見ながら、青山はごく普通の質問をした。


「ワイルダーってナンですか?」


 そんなことを言いながら青山はなんとなく考えていた。


 ワイルダーの求人広告のほうに行かなくてよかった・・・と。


 あくまで「なんとなく」だが・・・。