「こんにちは。この求人広告を見てきてみたんですけど・・・。」


 受付のお姉ちゃん、可愛いな


 とか、訳のわからないこと考えながら、女性に広告を見せる。


 小さな市の市役所、中身もやっぱり小さい。


「あ、その広告ですね・・・・・・・・・・・江(゜д゜||)!?」


 なぜ、漢字で驚く?しかも、訳のわからない顔文字まで着いているし・・・。


「あの、どうかしたのですか・・・やっぱり間違えたんですよね?」


「あ、いえ・・・少々お待ちください・・・。」


 あからさまに受付の女性は動揺していた。狼狽しながら傍らのインターホンを取る。


「あの、例の広告を見てきたという人がホントに来てしまったんですけど、どうしましょう?」


 聞こえてるっちゅうねん!


「ナンだと!そんなバカがこの市にホントにいたのか!?」


 声はインターホンからではなく、奥に構えている『住民票受付』から聞こえた。


 顔を向けると、背広がきっちり決まっている中年男性が同じようなインターホンを片手に声を上げていた。


 これぐらいの距離なら直接会話しろよ!しかも、メッチャ失礼なこと言っているし・・・。


 ツッコミたかったが、あえて黙っていた。


「どうしましょう?アレは冗談でしたとか言って追い返したほうが・・・。」


「いや、せっかく来てもらったんだ。この市の秘密を知ってもらうのも悪くない。それに、ここで返してしまっては隊長がなんと言うか・・・。」


「そうですよね?ではやっぱり、お連れして・・・」


「それより島崎君、今日の夜は暇かね?いいお店を友人に教えてもらったのだが・・・。」


「ナンですか、こんなところで部下を口説いて誰かに聞かれたら、不倫していることがバレますよ」


「大丈夫さ。インターホン越しの会話なんだから・・・。」


「聞こえています!」


 さすがに、つっこんだ。


 てか、こんな小さな市で不倫なんてドラマみたいなことをやっている人間が本当にいたんだな・・・。


市の秘密も何も、すでにでかいことを知ってしまった気がする。