「だって説明会の時も、面倒くさそーに外見てたし。面接もあんなだったし。ぜってーこの人、やってくれないって思いましたもん。」



「あはははっ! あの時ねぇー。 いくら頑張っても良い方向に向いていかないしさ。全ての事が、嫌になってたのよ。…でも…」



酒を1口飲んで、彼女が続ける。



「説明会でも面接でも、ボーッと座ったままで何も言わなかったあなたが、急に一緒に働くとか、リストラを回避しましょうとか、言いだすんだもん…。」




うっ… そんな潤んだ目で、ジッと見るなよ。





「熱いっていうかさー、若さの勢いっていうか。でもね、その熱さに私もちょっと乗ってみようかと思ったの。そしてこの結果でしょ? 良平くんのおかげだよ、ありがとー!」



そう言って、抱きついてきた。




「えっ! ちょっと! 香織さん!」



すぐに周りに冷やかされた。



でも彼女は感謝と友情のハグだと、平気な顔をしている。