さわやかな風が僕たち二人を運ぶように、家の裏の野原へと誘う。
緑色の背の低い雑草は、僕らにはまだ大きく見えた。
パパが作った一メートルくらいの柵の向こう側には、沢山の羊たちが僕らを歓迎するように、僕に近づいてくる。
「ちゃんと、僕らのこと知ってもらわないとな。特にアヴェルは!」
近づいた羊はそんなに奇麗な白はしていなかった。
それでも、一匹一匹の姿、目、行動は全く違うということはすぐにわかった。
「うん!でも、どれがどれかわかんないよ…」
3歳の弟はそう呟き、困った表情を見せた。
ポンっ
「アヴェルなら大丈夫だよ!すぐにわかるようになるから。」
小さな頭を軽く撫でて、励ますように言った。
にこっと、パパやママのように、微笑んで。
「…うん。ありがとう!がんばるよ。」