「エデン様からのお告げよ。そうね…、あなたはまだ小さいから動物のお世話。カインは何でもしっかり出来るから、畑仕事を頼もうかしら?」
にっこりとほほ笑みながら語るママ。
エデン様。
湖の先にある、一際大きな木を、僕たちは『エデン様』と呼んで親しんでいた。
(…エデン様が、言葉を話すのかなあ?)
チラッと湖の先のエデンの木を見る。
しかし、そんな考えもすぐに消え、与えられた仕事に素直に喜んだ。
「動物さんのお世話大好き!」
ピョンピョンと小さな体を跳ねさせながら喜ぶ弟。
「頑張るよ、ママ!」
僕は、ママの一言が嬉しくて、必ず満足のできる畑にしてみせると、幼心ながら誓った
。
間違いなんて、何もない。
「頑張って!ママ応援してるから!」
ママのあの笑顔に釣られて、僕らも微笑み互いの手を握る。
一緒に向った先は、家の裏にある倉庫。
少し暗くて、埃っぽい。
そして
そこに居たのは、パパだった。