俺が非常階段へ着いたときはもうあの男はいなかった。
ひかるだけ取り残され、携帯をいじっていた。
そして…俺にぶつかった。
俺の顔は、かなり引きつっているだろう。
心ん中は嫉妬でいっぱいだから。
「え…あの、ごめんなさい…
すいません…謝るのでそんな不機嫌そうな顔しないで…」
どうやらひかるは、俺が不機嫌の理由はぶつかったことにあると思っているらしい。
「…違ぇよ、ぶつかったから怒ってるんじゃない」
「えっ、じゃあなんで…」
「お前、あいつと何してたんだよ」
「何って、なにも…
陸くんには関係のないことだし」