――――――――――――ガチャリ
生徒会室に入った灑梛は、鍵を締める有沢を睨み付けた。
「そんな顔してると、襲いたくなる。いいの?」
有沢は、欲に掻き立てられた表情で灑梛に近づく。灑梛は、後退りした。
『(だから男は嫌いだ。いつでも私を、性の対象でしか見ない。まともなのは、瑞希だけ…)』
灑梛は胸ポケットに手を伸ばした。いつもなら、ここにカッターが――――――…
『(ない!?)』
灑梛は瞠目した。
いつもは護身用にカッターを入れているのだが、今日は筆箱の中のようだ。筆箱は、教室。
「どうした?さぁ、俺とイイコト、しよ?」
『誰が貴様なんかと…』
灑梛は一瞬、有沢を蹴り倒そうかと思ったが、やめた。病院送りにして騒ぎにしたくない。
ならば、どうやって?
その間に有沢は灑梛に近づき、肩を鷲掴みにした。灑梛の肩が跳ねる。
有沢はそのまま灑梛を押し倒した。