数日後…

「灑梛ちゃん、お友達だよ」

高麗が灑梛に話しかける。
灑梛はビクリと肩を震わし、強ばった表情で父を見上げた。

『友達…ですか?』
「うん、男の子だよ」

灑梛の表情がさらに強ばった。男子はいつも、自分の目をからかう。だから、大嫌いだった。

「この子だよ」

高麗の後ろから、おずおずと顔をだす少年。
灑梛はその少年の顔を見て、目を見張った。

「パパは仕事があるから…二人で遊んでなさい」

そう言い残し、高麗は部屋から出ていく。
部屋に残ったのは、灑梛と少年の二人だけだった。

「ひさしぶり」
『おひさしぶり…』

見たことのある、この少年は。

「おれは、くおん みずき。6さい。きみは?」
『…れいら、しゃな…。6さいです…。』

黒髪と淡い水色の瞳が印象的な、同い年の少年。
桜吹雪の下で出会い、灑梛を助けた、あの少年だった。




















外には、桜吹雪が舞っていた。