今年で齢六歳になった灑梛は、小学一年生になった。

『わぁい、ランドセル♪』

赤いランドセルを背負って、灑梛は家を走り回っていた。

「こらこら灑梛、そのうち転びますよ」
「いぃじゃない、可愛いんだし。」

灑梛の母の緋梛と父の高麗は、笑いながら灑梛を見ていた。

「灑梛ちゃん、嬉しいかい?」
『はい!ありがとうございます、ちちうえ、ははうえ』

灑梛は満面の笑みを二人に向けた。
再び走り回る灑梛を尻目に、高麗は緋梛に話を持ち出した。

「ねぇ、ママ」
「なぁに?パパ」

高麗は一瞬躊躇ってから、言葉を紡いだ。

「孤児院から…子供を、引き取ろうと思うんだ」
「なんで…?」
「将来の、灑梛ちゃんのパートナーに」
「まさか、パパ…継がせるつもり!?」
「あぁ…灑梛ちゃんしか、相応しい子はいない。」
「でも、あの子は女の子よ。将来が…」
「パートナーは、男の子だ」

そこで、緋梛の動きが一瞬止まった。

「まさか…」
「うん。しょうがないじゃない」


灑梛がこの意味を知るのは数年後…。