お父さんへの説得は呆気なく惨敗。


車のエンジン音は、遠くなって行く。
これほどまでに虚しいことなどあるだろうか?

お母さんは心配そうにしていたが、なんと言うことだろう。さっさと車へ乗り込み、お父さんと行ってしまった。


乗り込むちょっと前までの時間、お母さんは私に砂糖と塩、卵やハム・・・などの料理に欠かせない食材の在処を私に囁くだけだった。


(めんどくさ・・・)

自分の事で精一杯だもん・・・私は、ふうとため息を吐いた。

「名前・・・なんてゆーの?」

満面のスマイル・・・嘘だ。営業スマイルだ・・・
もちろん、笑顔を向けたのはアノ中学生“海”。

「みな・・・七原 美菜っていーます」

「そっか。家の中、入っていい?」

「あぁ・・・はい、まぁ・・・」

こうして、海との7日だけの生活がはじまる。