―――――――――――――――――
話は、7年前にさかのぼる。

あの日は、すっごく暑い日だった。

ジリジリと太陽の日差しが肌に焼き付けてゆくのがよく分かる。
 私は、ソーダー味のアイスを片手に、もう片手にテレビのリモコンを持ってリビングに寝転んでいた。

「美菜、お母さんはおじいちゃんン家行くけど…本当に一人で大丈夫??やっぱり、お母さん達と一緒に行かない??」


洗濯籠を片手にお母さんが私を上から覗き込む。


「だって、病院に送るだけだし面会に私、行けないもん…」

私はシャクシャクとアイスを食べ首を振る。
 心配げなお母さん、ふうとため息をゆっくりつくと


「美菜、一人になっちゃうよ??2,3日帰らないよ?」


「んー。」


曖昧な返事で何となく誤魔化し、テレビに夢中になる私。

「じゃあ。荷物運び手伝ってちょうだい…!!」


もう一度、お母さんはため息をついて
私に洗濯籠を、ずいっと胸元に押しつけて行ってしまった。