「ちょいちょい!ちょーい!!何やってんのさ美菜!!」

「あ…ゴメン。那月…」

那月に謝った瞬間、涙がまたまつげを伝って零れ落ちる。

「おーい。美菜?…わわッ!!また泣いてる…ゴメン。そんなに怒ってないから泣くな!」

那月は、慌ててポケットからハンカチを取り出した。

「ん…大丈夫だから…。」

ずずっと鼻を啜りながら、那月に言うと

「大丈夫なんかじゃないよ!!」

なんやかんやで、一方的に断言されてポカーンとしている私の手首を掴むと那月はパタパタと、屋上に繋がる階段を駆け上がった。

「わわッ!!転けるって!!走らないでよ!!」

私の声が聞こえないかのように、那月は無心に私を引っ張って階段を駆け上がる。
 那月の速いこと速いこと。あっという間に屋上に着いてしまった。


『キーンコーンカーンコーン』

二人の息切れが共鳴する中で、チャイムが丁度、鳴った。


「那月、授業…」

呟くように那月に言いかけると

「あぁ…サボる!」

那月の正常ではない答えが、すぐさま心に響く。

「はぁ?那月、あんたバカ??」

「うん。美菜よりずっとずっと、ずぅぅぅぅぅ~~っとバカだよ!!」

得意げに鼻をならす那月には
たまにしか、呆れないはずなのに
今日は、かなり呆れる。