ケータイをパッと
制服のポケットから、取り出し
文ちゃんに電話しだした那月。
 

 「あ~もしもし?文ちゃん?? 無事に連絡したよん♪てか。海くんって、今 何処にいるのッ…」


私は、那月の手からケータイを
奪い取った。


「ちょっと!!文ちゃん?!なんで、海が来たって知ってるワケッ??」

驚き過ぎて困っまっている那月を、見て見ぬフリをし、私は文ちゃんからの返事を待った。


『あぁ!!美菜かぁ。久しぶりぃぃ!!ナニナニぃぃ~聞こえない~』


那月の紹介以来だった文ちゃんの声を聞くのは。
 ケータイから、ザワついた音が聞こえるから、きっと、文ちゃんは、業間休みに体育館で
バスケでもやっているのだろう。


「だからぁ!!なんで、海が来たって知ってるワケっ!!!?」


『あぁ!!直接、海に逢ったからさぁ。』


さすがの仲良し。
直接、文ちゃんに逢って挨拶しに来るとは……。



『そーいやさ。今、一緒に海がバスケしてるけど、見に来ないか??めっちゃ。仲良く生徒とやってるぞ??』


「え?もしかして、文ちゃん…」



『あぁ…。海が先生になった事??それも、直で、海から聞いたぞ~。あっ!やべ。そろそろ。戻らんとダチがキレる!!じゃあなッ!!』


「あっ」

ツーツーと、電話の切れた音だけが、耳元で虚しく響き。あっと言う間に
通話は切れてしまった。