「敵が送り込む可能性を考えろ」

 戒が翼の頭に手を置きながら発した。

「あ、そか」

「疑いたくはないけどね」

「今の状況では当然の措置だ」

「今いるクローンのコードを記憶させて新たなコードが発見されたら知らせるようにしてある」

 手に持っている見慣れない機械を示す。

 携帯ほどのサイズのものをコートの胸ポケットに仕舞い、真仁は準備を続けた。

「あ、でもそれで不思議に思ってたんだけど」

 翼が思い出して戒に視線を送る。