「……」 スコープを覗く戒の表情は苦い。 <つながった> 戒のヘッドセットに呼び鈴がしばらく鳴り響き、そして── <しばらくだな、戒> 「水貴(みずき)」 スコープの向こうに捉えた男が携帯のようなものを右耳にあてがい、無表情に立っている。 水貴と呼んだ男の逆の手にはライフルが握られていた。 「何故お前がそこにいる」 <それが正しいと思ったからさ> その言葉に、戒は喉の奥で舌打ちした。