しばらく歩くと、少年は若干の警戒心を見せて周囲を窺い、地下鉄の入り口に吸い込まれるように入っていった。

 それに従うと、階段の途中で頑丈な合金製の扉があった。

 2人は不思議に思ったが、よく見ると災害時用の遮断扉(しゃだんとびら)だと気がつく。

 どうやら、この地下鉄は利用されなくなって久しいようだ。

 いたる場所にカラースプレーの殴り書きがされ、ゴミが散乱している。

 少年は、重々しく扉を3回ゆっくりと叩いた。

 すると、扉の向こうから「誰だ」と男の声が響く。