しばらくすると別の男がその部屋に入ってくる。

「戒が現れただと?」

 腹の出っ張った40代後半と思われる男が低い声でディスプレイをのぞき込んだ。

 やや広めの部屋にいくつものノートパソコンが並べられ、それを常に見つめる男たち。

「やはり真仁に付いたようですね」

 カメラの望遠をアップにして戒をクローズアップした。

「! 翼も来ているのか」

 戒の傍(そば)にいる青年を見つけた男は少し声を高くした。

 その様子に少々、眉をひそめた部下と見られる男は気づかないふりをして続ける。

「どうしますか? 厄介な相手ですよ」

 その男、筒井が問いかける。

 牧場がまだ運営されていた頃、組織同士の諍(いさか)いはなかったが所属しているハンタードッグたちの情報はやりとりされていた。

 組織の体制とハンターとの相性もさることながら、気になるハンターと接触し引き抜きなども行われていた。