「擁護派(ようごは)と強硬派(きょうこうは)のグループはいくつかに別れていてね。地方の仲間たちとの連携も密に取っているんだけど、やっぱり都心が密集地帯なだけに色んな意味で激戦区だよ」

 何かを忘れようとするかのように、真仁は別の話題を振った。

「首都付近に人を集めすぎた結果だ」

 戒は、ペットボトルをデスクに乗せて腕を組む。

「まあ確かにそうだね。人が密集する地域に雇用だけが生まれると思うのは浅はかだ」

 需要と供給のバランスが崩れ、全体的な雇用率が下がってしまう。

「……」

 それから2人は押し黙る。

 目の前の現実からほんの少しだけ逃げたくて、他の会話を持ち出した自分たちをあざ笑うように、互いに目を合わせ薄い笑みを浮かべた。