「なるほど、こいつが味方識別コードか」

 戒は冷静にスイッチとディスプレイを確認していく──クローンコードは灰色、味方は緑、敵は赤で示されるようだ。

 ノートパソコンの横にある見慣れない携帯ほどの大きさをした、通信機らしい機械に赤い文字が示されている。

 味方のコードは、ヘッドセットから出されている電波だろう。

 戒は勝手にそう推測し、他のフィルタを確認する。

「ねえ」

 翼は少し声を張り上げて真仁を呼んだ。

「なんだい?」

「電波って敵に探知されたりしてないの?」

「ああ、それなら問題ないよ。色んな電波をあちこちで流してるから、傍受しようとすれば攪乱(かくらん)されるだけさ」

 真仁の返しに口笛を鳴らす。