それから一度、深呼吸をして水の入ったグラスに手を伸ばす。 ひと口含んで続けた。 「お金もあるし、力も持ってるボクにその企業は喜んで手を出してきた」 戸籍を調べてもどこにも不備はない。 「ボクのコードは特別なチップだから、特別なプログラムじゃないと表示されない」 デスクに置かれたヘッドセットを手にして発する。 「……」 戒(カイ)は真仁(まひと)をじっと見下ろした。