「何故ボクを引き取ったかは解ってる」

 祖父の研究が成功したかを確かめるためだ。

 そのために意図的に真仁を自由にさせていた事も知っていた。

「大富豪っていうのは、政財界ともつながっている。だから、ボク自身にもある程度の力が使えたってワケ」

 薄笑いを浮かべて肩をすくめた。

「いま考えると、一度くらいグレてても良かったかなって思うよ。この年ではさすがにもう恥ずかしくて出来ないけど」

 笑んだあと、やや表情を険しくさせた。

「そんな時に、ある企業の話が伝わってきたんだ」

 調べるためには組織を作らなくてはならない。

「大変だったよ。組織をここまでにするのはね」