「ぐっう」

 戒は震える手でショルダーホルスターの右側からナイフを抜き、未だ締め上げてくる水貴の右腕に突き刺した。

「そんなもので俺がひるむとでも思っているのか」

 水貴は鼻で笑い、さらに力を込める。

「……っ」

 苦しみながら、突き刺したナイフの柄にある仕掛けに触れた。

「なんだ?」

 柄からもう1枚の刃が飛び出し、水貴は目を丸くする。

 それは糸切りばさみのような形状になり、戒は一気に力を込めて握りしめた。

 バツン! という音がして肉が切り裂かれる。

「ぐぉっ!?」

 さすがの水貴もその痛みに戒を投げ飛ばすように離した。