あの体格差は詐欺だと冷や汗を流す、戒は鍛えていると言っても筋肉を増やすためのトレーニングではない。

 柔軟に素早く動けるようにするためのものだ、それが繊細な武器の操作を可能にしている。

「……っ」

 まともにぶつかっても勝てる相手じゃない、近づいてくる足音を聞きながら戒は思案した。

 意を決して壁から駆け出す。

「!」

 飛び出してきた戒を見やり、その手にあるハンドガンに口の端を吊り上げた。

「そんなものが当たるとでも思っているのか!」

「チッ……」

 やはり避けられてしまう。