荒廃した建物と、崩れた壁に囲まれた敷地──

「おい! いい加減にしろよな!」

 鉄骨に手錠でつながれている翼が、目の前の大きな男に声を張り上げる。

 遠くで銃声が微かに聞こえていた。

「黙ってろ」

「何バカなこと考えてんだよ! 今はそんな状況じゃ──っ」

「黙らないと突っ込むぞ」

「っ!?」

 ギロリと睨まれた翼は青ざめて押し黙った。