「翼(つばさ)は」

 投げ渡された武器を装備しながら辺りを確認し、ヘッドセットに問いかける。

<こっちに向かってる姿を捉えたよ>

 青年の声を聞きつつ周囲を見回すと、戦況は思わしくないと窺えた。

 そんな戒(カイ)のヘッドセットに低い声が響く──

<戒、聞こえているか>

「!?」

 その声に目を見開き、ヘッドセットに指をあてた。

「水貴(みずき)か」

<翼のヘッドセットから発信されている>

 真仁の声が流れ、そのすぐあとに水貴がゆっくりと発した。