「そうか」

 戸塚は、微笑みながら心の中で舌打ちする。

 持って来てくれていれば調べられたものをと少し苛ついた。

 真仁たちが使うヘッドセットは真仁がプログラムしたものだ、どのようなプログラムを組んでいるのかを知りたくてたまらないのである。

 翼はそういうものには疎(うと)そうだ、そこがまた可愛くもあるのだが……と戸塚は妄想して口の端を吊り上げる。

 年の割には童顔な真仁もしぐさは可愛いとは思うのだが、組織間の付き合いをしている間の事は苛つく記憶しか思い出せない。

 頭が良すぎて癇(かん)に障(さわ)る。そう思うと多少バカな翼が余計に可愛く思えた。

「……」

 戸塚の表情に翼はなんとなくムッとした。