「! それ……」

「シャンパンだ」

 手を止めてボトルを見つめる、深い緑のボトルは翼を誘うように中の液体を波立たせた。

 戸塚はそれを確認し、栓を抜くと小気味の良い音がして独特の香りが部屋を満たした。

 手渡したシャンパングラスに注ぎ、乾杯の合図を示す。

 青年はそれに軽く応えてシャンパンを一気に流し込んだ。

「!」

 ペロリと唇を舐めると、そのしぐさが可愛かったのか戸塚の口元はだらしなく緩んだ。

「戒の武器やヘッドセットはどうしたんだね」

 おもむろに戸塚が問いかける。

「壊した。真仁にバレないようにここまで来るの苦労したんだから」

 ピザを手に取っていた翼はちらりと一瞥して応えた。