「もちろん、反対した政治家も多い。だけど、国民がその前に動いてしまったんだ」

 突然に始まる殺戮の世界──

「クローンは死ね!」と叫びながら、マシンガンの引鉄(ひきがね)を引いた男を皮切りに、血塗られた国へと変貌していった。

「それまで牧場はボクが管理していたんだけどね。手当たり次第に殺していく奴らが入ってきて、今はここに居を構えているってワケ」

 真仁は、放置されていたクローンたちに少しずつ教育を施し、生きていける術(すべ)を教えようとしていた。

 しかし、クローンの存在が日本を二分(にぶん)した。