「その男は君のモノだ。しかし、君がわたしのモノになるならここに置いてやってもいい」

「!」

 翼は一瞬、驚きじっと戸塚を見つめた。

「……酷いコトしない?」

「もちろんだとも! 優しくしてやろう」

 戸塚は両手を広げ、安心させるように笑顔を見せた。

「翼! 馬鹿なことは……っ」

「うるさいな! 戒は黙っててよ!」

 多少、疑ってはいる戸塚だがこの様子は演技とも思えない。

 ひとまず、筒井に視線を流し軽く手を示した。