「あんたは真仁を少年趣味だと思ってたみたいだけど」

「で、こちらに寝返ったという訳かね」

「寝返った訳じゃない」

「ではどういう事かね」

 戸塚は眉をひそめる。

「戒を取られたくないからこっちに来ただけ」

 戸塚は再度、戒を見上げた。

 こんな男を奪い合っているのか……と眉間のしわを深くする。

「僕が嫌いなのは真仁だけ。だから仲間の情報は売らないよ」

「随分と勝手な言い分だな」

 口の端を吊り上げて言い放つ。

「条件がある」

 喉を詰まらせた翼に付け加えた。

「! 戒はだめだよ」

 戸塚は「そんなものはいらん」とでも言うように左手を振り、翼に目を合わせて交渉を始めた。